絵本 日本国憲法前文

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私は所蔵しているものが見当たらなくなると「どこかに旅へ行った」と言い、きっとそのうち会える日がやって来るのさと、悟りというよりも諦めの境地から発している。それでも若い頃に比べたら整理整頓できるようになったのだが、どうしても「念のため」や「必要かも」など、とにかく迷ったら捨てない性格が災いし、書庫や倉庫には溢れんばかりのものがたまっていく。そうやって次々にものを上積みしていくから、いつのまにやら遠くまで旅をさせているのだろう。

そこで、このたびの自粛期間は山のように積んだものを仕分けすることにした。いわゆる断捨離だ!これからの人生で優先順位の高いものを残し、あとは断腸な思いで泣く泣く選別していく。するとやっぱりすっきりとしてくる。また、旅から多くのものが帰ってきた。どこにあるのか行方知らずのものとも、めでたく再会できたので良かった。特に本は改めて読むと味わいのコクが変わってくる。この年齢で読むと違う味わいがあって、新鮮に感じることが多くあるものだ。

その1冊が「絵本 日本国憲法前文」。長崎県在住の画家 桑迫賢太郎君が挿画を担当し、とっかかりの難しい原文を、さかい いずみさんが口訳。この著書には、選挙によって選ばれた国会代表者が、私たちや子孫のために、いつまでも自由で喜びに満ちあふれるようにすること。二度と政府の振る舞いで、悲惨な戦争が起きないようにすること。この国の在り方を決めるの権利は国民にあるなど、主権在民について親しみ易く書かれている。中でも「私たちは独裁や奴隷制が行われたり、偏った行いを権力によって押し付けられたりすることなどを、この地上から永久になくし、平和を守る努力をしている世界中の国々のなかで、尊敬されるようになりたいと思っています」の言葉は、日本人とは大きな志と独立心がある国民だと書かれてあって、大和魂が燃やされて心の底まで熱くなりました。どうかこの本を機会がありましたら、一度手に取ってご覧いただき、憲法に託された平和への願いに触れてください。