戦争を知らない子供

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「戦争を知らない子供」という歌がある。この歌は私が子ども時代に流行っていたため、その当時はなんとなく聴き覚えがある程度で、歌詞の意味がよくわからない大人の歌だった。とは言えいくら判断能力が低い頃でも「平和」と「戦争」の違いについてはイメージがあった。子どもなりに漠然としたものではあるけど、平和は正しく、戦争は間違いという観念は反射的に浮かんだ。それは学校の授業で教えられたことより、祖父母などの実際に戦争を体験した人たちが身近にいたため、この手の話題には自然と触れていたからだろう。それくらい身近な話題として語られていた。
その後、20代半ばになった頃に、「戦争を知らない子供」と再び出会った。場所はカラオケ店。たまたま友人たちと歌いまくっていた日に、この歌を見つけてリクエストした。ただ、その場しのぎの興味本位で歌ったのだが、歌詞の素晴らしさに感動して胸の中が熱くなった。こんなに凄い詩だったんだ!特に「おとなになって歩き始める、平和の歌を口ずさみながら」のフレーズは、自分が大人になったことを自覚させられた。社会の中で一翼を担って生きなければならないと、勝手に思い込んで使命感に燃えてしまった。
また、この時代は香月画伯のシベリアシリーズにも影響される。それまで何度も観たことがあったのに、急速に身近なことだと感じ始めて、もっと知りたいと思うようになった。おそらく若者特有の上昇志向の1つ。はしかみたいなもの。それでも馬鹿みたいに勉強したことは無駄ではない。自分なりに作品鑑賞ができるようになって、画家の言葉に触発されて平和についての考え方も広がった。このたびの香月画伯の作品展でも学んだことがベースになって新しい発見が生まれる。年齢を重ねるたびに感じ方が豊かになって面白さが増していく。さらに平和への願いが強くなった。私たちは今平和な国にいる。だから平和な時間を味わい堪能できる。いつまでもそうであって欲しい。戦争を知らないひまご、やしゃごと続くことを願っているのだ。