りおた illustration cafe

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アンパンマンは、自分の顔をちぎって、人に食べさせる。本人傷つくんだけど、それによって人助ける。そういう捨て身、献身の心なくしては、正義は行えない」というのは、やなせたかしの名言である。

やなせさんは太平洋戦争へ召集され、敗戦したとたん一瞬で変わる「正義」に危うさを覚える。ある日突然逆転する世界に恐怖を感じた。だから、正義は信じがたいものである。しかし、逆転しない正義は必ずあるはずだ。それは何だろうかと考えた末、戦時中の体験から腹ペコの人に、一片の食べものをさし出すことだという結論に至った。本当に飢えている時には、どんな大金より一切れのパン。そこで自分でパンを焼いて空を飛んで、子供たちに配るヒーローを思いつく。そのパンはアンパンがいい!パンは外国のものだけど、あんこは日本のもの。日本の慈悲深い精神の象徴だ。こうやって正義のために、困った人たちへ自らの顔をちぎって渡す、アンパンマンが誕生したのだった。

ところで、先週から県内の文化施設は、一斉にコロナ感染拡大防止集中対策として、臨時休館に追いやられる。防府市のアスピラートも右にならえで、イラストレーター りおた君の展覧会は前倒しで終了することになった。世界中のトップアスリートたちの活躍するシーンを描いたイラスト作品は思わぬかたちでお蔵入りする。とても残念なこと。おそらく本人も2年連続で疫病に振り回されただけに、唇をかみしめているはず。そんな辛い状況の中で、彼は大胆不敵な行動に出る。なんと、最終日に併設しているレストランとのコラボメニューをすべて無料にしてしまったのだ。私も長く県内の文化事業に携わっているが、このような太っ腹企画は前代未聞のこと。みんなとの思い出に食事なんて、超かっこいいことだし、いつまでも語り継がれて、いずれ伝説になるだろう。この次の旅もワイワイガヤガヤの修学旅行になることを祈っている!