スゴイ!

f:id:gallerynakano:20210829231036j:plain


先週末、再びバラエティー番組「マツコ会議」にゲスト出演したポップバンドの『ヒゲダン』。前回と同様に山陰発というフレーズに引き込まれて視聴する。その中で注目したのは個性的な歌詞についてのトークシーン。

「久々にとんでもない歌を聴いた。いろんなオブラートに包んで甘いラブソングにも聴こえたり、ものスゴイど変態(=異常)で、ものスゴイ巧妙にやっていることを、そう感じさせない歌にしたことがスゴイと思った」とマツコさんが言い、歌詞誕生への秘密を問い詰めると、「実体験というより、自分の価値観の中で思いつきうるメッセージだったり、描写とか言葉として歌いたいものを選んで歌詞として作っていくという感じ」と、リーダーが答えた。すると「全部実体験な訳がないと思っていた。だとしたらものスゴイ変態。妄想とか空想とかで、とんでもない所まで辿り着ける。全部が実体験だったら書けないものが出てくる。それを書けるってことは、それを想像しているってこと。実際にはできなくても、想像できるところまでは自分が妄想できる人。だからなかなかの変態」と、マツコさんがあらためてその歌詞を絶賛していた。

このやり取りはわざと言葉の品格を落とすことで、あくの強い刺激的な味わいとして伝わってくる。人の奥底に秘める複雑な思いを、これまでになかった歌詞で表現できた素晴らしさを、マツコさん流で称えていたのだろう。そういえば、昨日まで近くの文化施設であった「カラクリ博士の異常なゲーセン」。この展示作品をたった1人で制作した原田さんも『ヒゲダン』のリーダーと同じくらいスゴイ。なんだかんだ言っても、図面のないゲームを一からすべて自分の力でやり切った。表層的なものはイメージできても、中身の構造はわからないものだらけ。あれこれと手探りで想像しながら、数えきれない失敗にもめげずに、「俺が山口市民を喜ばしてやるんだぜ!」という自惚れと責任感で、本当に老若男女を問わずにみなみなを明るい笑顔にした。有言実行の男前ぶりに敬意を表します!