軍扇

f:id:gallerynakano:20220102194529j:plain


元旦にNHK Eテレの番組 先人たちの底力 知恵泉スペシャルのテーマは「占いが歴史を動かす!?」 。占いは長きにわたって日本の歴史を密かに動かしてきた。華麗な宮廷文化が花開いた平安時代に恋人たちの逢瀬は占い次第だった。終わりなき戦いが続いた戦国時代では出陣する日を武将は占いで決めるなど、日本の歴史と深く関わってきた占いの世界とそこに秘められた知恵に迫った。

その中で私のハートを響かせたエピソードは、1555年、毛利元就陶晴賢との間で起こった厳島の戦い。元就の兵は晴賢の5分の1しかなく、圧倒的な不利な状況であったのだが、勝負を判定する軍配者 平井入道が占いの結果、悪日だから数日待てとを告げて、決戦を一時中断するように助言した。これに晴賢は従ったが、元就は扇子の表裏に描かれた太陽と月の絵柄を使って、それをひっくり返して「もう日が変わった」と、悪日から吉日に変えて大義を立てて、夜陰にまぎれて奇襲して、勝利することに成功したのだった。つまり、占いの結果をどう自分に活かせるのかを考えて、上手く利用することでチャンスに繋げていく。発想の転換から劣勢を覆して勝機を見い出したのだ。

あれから461年経った2021年10月、防府市の毛利博物館で「秋の毛利邸でハッケン!風景をきりとろう」というワークショップが開催される。この企画は隣接する毛利邸の中を扇型を持って、親子で探検して風景を切り取って、扇面(せんめん)をイメージした絵を描く体験型講座。講師の臼杵万理実さんを中心に、毛利邸になる家紋や襖、釘隠しなど、さまざまな歴史文化財をモチーフにして、いろんな作品が和気あいあいとしながら制作しました。私はこのワークショップと厳島の戦いが頭の中でコンプリートしてしまった。なんてたって毛利博物館には、あの戦いに勝利をもたらした元就公の軍扇が所蔵されている。間違いなく、歴史の見えない糸が繋がっ