シュヴァル

20年前、月刊たくさんのふしぎで出版された「シュヴァル 夢の宮殿をたてた郵便配達夫」で、山根秀信さんは原画を担当することがあった。この物語は、フランスの片田舎で郵便配達員をしていたシュヴァルは、配達中、いつもいろんなことを空想しながら歩いていた。当時流行っていた絵入りの旅行記や、異国の見たこともない建物や動物、植物の図鑑などを目にしていくうちに、いろいろことに興味を持って、どんどん空想力を膨らませていった。

そんなある日、偶然つまずいた石に心を震わせる。奇妙な形をしてなんて面白い!それから道端にある変わった形の石を集めて、コンクリートなどの資材も調達していきながら、たった1人で33年かけて約100坪の夢の宮殿を完成させた。まったく建築を学んだことのない男が、ピカソも絶賛する造形的にも美しい宮殿を建てて、後の時代に文化財に指定されて、世界各地から人が集まるにぎわう観光地になりました。

昨日、この本のことを思い出し、ひさしぶりに読んでみると、どこにいても想像力の冒険はできるものだと思った。あえて遠くまで出かけなくても、何かに夢中になって日々を過ごせば、いつの日か頭の中に描いたものが実現できる。つまり、創作のヒントはどこにでも転がっている。その人が見つけようとさえすれば、必ず直感を刺激するものと出会える。汝の足下を掘れ、そこに泉湧くは本当のことなのだろう。