不思議

日常のありふれた風景を自らの感情を入れず無機質に描かれた作品。どこか違和感を覚えてしまうけど、実は身の回りに転がっている。都市開発や道路整備などで造られたものには、土地に住む人たちが生活するうちに育まれた愛嬌がない。道がくねくねして効率が悪くて、平らだと思ったらデコボコしてたり、家の区画も斜めで庭から木の枝が出ていて、どこか不便不自由な環境だけど、だからこそ、必然的に生まれてくるコミュニケーションがある。力を合わせないとならない場所には、あたたかい雰囲気が漂っている。

山根秀信さんの作品は、私たちが漠然と見ているものに一石を投じている。その昔は田んぼだった場所に、郊外店や住宅が不自然に立ち並ぶ風景を凝視させる。よくよく見つめてみれば、しっくりとこないものばかり。いつの間にか当たり前だと思い込み、奇妙なパノラマに飼いならされて、無関心に日常を過ごしていることに気づかされる。つまり、不思議だと思うことを大切にすること。日々を観察力と好奇心を持って、自分らしい視点で観ることの意味を教えてくれる。