手がかり

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停電のときでも身の回りのほとんどの物に手を届けることができるように、
からだは物に身を持たせかけている。からだは、物の場所にまでいつも
出かけていっている。物との関係が切断されれば、身体は宙に浮いてしまう。
新しい空間で高齢者が転びやすいのは比喩ではなく、まさに身が宙に
浮いてしまうからである。まわりの空間への手がかりが奪われている
からである。「バリアフリー」で楽だとおもうのは、あくまで介護する側の
視点である。まわりの空間への手がかりがあって、他の身体――
それは、たえず動く不安定なものだ――との丁々発止のやりとりも
はじめて可能になる。
                           鷲田清一(身ぶりの消失)
 
センター試験の翌日、現国のこの文章を読んだ時に「バリアフリー」を
「インターネット」に変えて、「介護する」を「利用する」に変えても良いの
ではないかとひらめいた。
 
インターネットで調べものをしたら効率よく答えが出てくる。
ただ、自分自身手探りをした経路でないため、平面的な知識であって、
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感を立体に満足させる力はない。
 
インターネットへ依存し過ぎると、「身体が宙に浮いてしまう」ようになるのは、
必要なものだけを知り、無駄な雑学に出会わないからなのでしょうね。