灰のかかった枯れ木に満開の花を咲せたのは花咲か爺さん。
まあ、昔話だから現実にはあり得ない・・・と言いたいけれど、
美術家ならちょっとした身近なモノを使って美しい風景を創作できる。
このたびの県美展の山根さんの作品は床に自家製の古米を敷き詰めて、
どこにでもあるような田んぼの風景の中に石膏で作られたプレハブ住宅が
点在している。そして壁には米袋に家の図面とぼんやりと描かれた多数の
住宅地の水彩画。「空間芸術」という堅苦しい言葉よりもこの作品からは
日常にある風景のジオラマから自分たちがどこか無神経に生きていることを
教えられる。会場でお米がもったいないと言う声も聴いたが、田んぼをつぶして
いる時点で、そうなっていることに気が付かないとならない。
ただ、そんなメッセージよりもお米の美しさに感動した。日本人の生命の根源で
あるお米で描かれた田んぼの絵は深く考えずに直感的に鑑賞するのが一番だ。
山根さんが15年ぶりに大賞受賞できたのは、その間に成長した作者の力が
正当に評価された結果だと思った。
山根さん、素晴らしい作品で大賞受賞おめでとうございます!
これからのご活躍を期待しております。