悲母観音

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1979年10月、山口県立美術館の開館記念として「生誕150年狩野芳崖」が開催された。狩野芳崖とは長府藩狩野派の御用絵師の家に生まれ、日本画の伝統に西洋絵画の写実や空間表現を取り入れ、近代日本画史の最初の画家として活躍。私は9年前の下関市立美術館での里帰り展で多少学ぶことはできた。しかし、まだまだ不十分。この年齢になるとあの時にもっと勉強しなかったことに後悔する。一期一会の機会を逃す。それはさておき、このたびの佐々木さんの作品展で、ふと芳崖のことを思い出した。それは芳崖代表作の「悲母観音」と、佐々木さんの作品が重なって見えたからだ。冷静に分析したらまったく違うかもしれない。その前提はわかってはいるが、なぜそう見えたかと言うと、「悲母観音」とは赤ん坊に愛を注ぐ母親の姿を表現。佐々木さんの絵も同じようにお子さんへ愛情の象徴。同じような慈悲深い精神の元で描いた作品だ。会期中、毎日観ている内に気が付いた。絵とゆっくりと対話した賜物だ。やっぱり美術は面白い。こんな小さな発見で興奮できる。だからこれからもそんな発見を求めて美術に触れたいと思った。

■Life 佐々木範子展 2017年11月17日(金)~26日(日) 11:00-19:00