運・鈍・根

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近年の美術は文化というよりビジネスに置き換えられたような気がする。それを生業にしている私が言うのもおかしいけれど、愚直に自分自身の創造力を信じて貫くタイプは確実に減っている。その代わりにやたらデッサン力ばかり強調する訳のわからない慣習や無意味な精神論が主流でなくなったことは大いに歓迎する。しかし、あまりにも商業的な価値観に重心を置き過ぎると美術はナンセンスになってくる。ビジネス感覚が強くなればなるほど、一番美しい人間力が埋没して、どうでもいい産物に陥ることだろう。つまりロマンとか夢想とかが存在しないものに人々は興奮したり期待することはない。なぜそんなに馬鹿馬鹿しいことに夢中になれる人の後ろ姿に人は感動する。理屈には合わないことにすべてを捧げる一途さに熱くなれるんだ。これから先、効率の良さを求めていけば人工知能には勝てない。人間の感性はギリギリ一杯の摩擦から文化を創ってきた。未来もまったく同じ。新鮮さとは人知を超えた世界にある。あっと驚く表現を目指して個性を磨いていこう!

■Life 佐々木範子展 2017年11月17日(金)~26日(日) 11:00-19:00