近年、美術館ではマンガを題材にした展覧会が増えている。これは単なるブームに思われるが実際はそうではない。その世界の素晴らしさや面白さを理解し、必要性を語れる人が多くなったからだ。現在進行形で進化し続けるマンガ文化は、人々の心に夢や感動などを与えて大いに魅了する。これプラス、マンガはかつての浮世絵のように、日本人による独自の表現として、海外でも高く評価されている。つまり文化の日本代表なのだ。身近でありながら感性を刺激してくれるもの。先日、県美での浦沢直樹展を観た時にしみじみとそう思った。細い線で描くための丸ペンにこだわり,それをスピーディーに使って生まれる浦沢ワールドは、とにかく半端じゃない熱量が伝わってくる。漫画家としての使命と心意気が凝縮されていて、想像以上のボリュームに圧倒されてしまった。江戸時代の葛飾北斎ではないけど、未知の世界に引き込む創造力が美しい。ぜひこの機会に漫画文化をご覧になって、その良さをじんわりとお楽しみください。