タイムマシーン

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先日、書庫の資料を整理していたら思わぬ1枚の書類が出てきた。なんと第1回山口県美術展の出品目録に記載された「観賞のしおり」の文面だけを抜粋したコピーだ。その昔、おそらく県美展を創設した方の一人が母にくださったもの。当時、私は高校生。とても立派な方だとは思っていたが、その後知れば知るほど、想像以上に大きな足跡が残されていた。もっと真面目にいろいろなことを学ぶべきだった。まったくあとの祭りとしか言いようがない。
それでも運よく時を越えて目の前に出てきた。いくつかの項目を1つ1つ分けて書き並べた1枚の紙。その正体は過去と未来を繋ぐ黄金のレター。特筆するほどの極意は書かれていないものの、昔も今も美術に対する考え方は大きく変わっていないことがわかる。例えば「世間の人たちの多くは素人には何しても出来ない抜功(技術による効果)の甘さとか、冴えといった躾なものに感心される。一筆でさっと描いてちゃんとものになってるとか、近くで観るとさっぱり判らんが離れて観るとそのものに観えるとか、或いはほんものそのままで出来ているとか、外見的な点だけ観られる」という言葉は、どの時代でも観賞者の気質がほとんど同じなことがわかる。やっぱり人間の本質は大きく変化しない。だから美術を愛する気持ちも変わらないのだ。来年2月14日(木)に開幕する県美展。美術へ挑戦する人々の祭典。またしても県民の坩堝になることは間違いないだろう。
■第72回山口県美術展覧会 2019年2月14日(木)~3月3日(日)9:00-17:00(入館は16:30まで) 休館 月曜日 観覧料 一般500円、学生400円、70歳以上・18歳以下・障害者料 山口県立美術館 山口市亀山町3-1http://www.yma-web.jp/