大器晩成

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約15年前のある日、ギャラリーへひとりの高校生がやって来た。その姿をひと目見た瞬間、美大志望の学生だと思った。それは彼のオーラがとても眩しかったのと、手に飛び散った絵の具の破片があったからだ。しかし、実際は偶然にも体育祭のために横断幕を作った後で、美大なんて考えたこともなかったと言われる。だけど、その後しばらくして、彼に見せてもらった落書き帳は素晴らしかった。言葉にならない感情をストレートに表現していた。そして、どちらかと言ったら詩人の要素が強いことに気が付く。絵の横に書き込まれた断片的な言葉で反骨心を表現する。どこまで揺れて転がっていく、ロックの精神が伝わってきた。
ただ、彼は才能を活かして生きることへの辛さを知っていた。なぜ、若いのにこんなことに気が付いたのかはよくわからない。でも、私なりの解釈で言えるとしたら、若いのに似合わず文化の構造を肌で感じていた。これは学習したというより、おそらく家風で身に付いたもの。つまり文化のある環境で育ったため、芸ごとの厳しさを想像できた。文化を本能的にわかっているのだろう。滅多会うことのできない、金の卵にめぐりあえたのだ。昨日、そんな彼が予告もなく来店し、短い時間に多くのことを語り合った。本当にフラット関係のまま、あの時と同じ初々しい気持ちになる。今も不思議な輝きを失っていない。やはり君は大器晩成だよ。これからも才能が開花することを信じて応援していく。
■ホットアート展 2019年1月18日(金)~27日(日) 11:00-19:00 定休日 22日(火)、23日(水) 出展者 桑迫賢太郎、永野ゆかり、夏乃木しずく、はやしいくみ、藤山正樹、大和佳太