球ひろい

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「球ひろい」という言葉がある。これは主に小中学校の部活の練習中に、周辺に転がったボールを補欠や下級生が集めて、縁の下の力持ちとして貢献していくことをいう。一見は理不尽で意味がないように思われがちだけど、さじ加減さえ間違えなかったら、雑用に負けない根性を鍛えるためにある。楽しいことではないけれど、それと向き合っていくことで、義務を背負って果たす能力が身に付く。やるべきことをきちんと働くことで、小さな達成感を得ることができるのだ。それともう1つほど大事なポイントがある。ただ球ひろいだけをやっていればいいと考える人と、球ひろいはステップアップだと考える人がいるの違いだ。人から与えられたもの、これをやれの世界を卒業して、自分にとっての価値を新たにつくっていく。自分の主体的に生きていくことがスポーツにとっての最大の目的だ。自分が今やるべきことにベストを尽くし、それによって成長していくことに意味を見い出そう。
ちなみに美術の世界も同じことだと思う。ある程度のレベルに達するまでは球ひろいの状態が続いていく。その場しのぎで適当にやっていても上達することはない。そのうちに上手くなるなんて幻想なのだ。まずは美術の世界を広い目で観察して、自分の立ち位置がどこなのかを確認していこう。ゆっくりと慌てずに見渡したら、そのうちに居場所がわかってくる。自分の武器になる個性が見えてくるはずだ。つまり球ひろいのようなことも馬鹿にせずに取り組むこと。美術の輪の中にいることに誇りを感じて、ピカソゴッホの球ひろいをするつもりで頑張ろう。自分よりもレベルの高いに美術家に近づいて、足らないことに大いに発奮して努力していきましょう!
■稲田絵美 個展 いつの時代も 2019年4月28日(日)~5月5日(日) 11:00-19:00 定休5月1日(水)