令和という新しい時代は、さらに科学が進歩していく。これまで研究によって培われたことをベースに、より合理性のある機械装置などが開発されていくだろう。今よりも遥かに便利で快適な社会になっていくはずだ。だけど、効率の良い社会になればなっていくほど、ちょっとした不便や不自由なことがストレスになっていく。例えばその昔なら鉄道で2日間かかった移動が、今なら飛行機で90分になって短縮できたものの、アクシデントで到着が約1時間遅れたくらいで不愉快になりやすい。それだけの対価を払っているから当然なのかもしれないが、約1時間が挽回できないことなんてそんなには多くない。だのに損をしたことばかり捉われて、投げやりな気持ちになってしまうものだ。
つまり現代人は快適な社会の中で生きていると、わずらわしいことを一切遠ざけて、心地よいことが当たり前の中で育つため、知らず知らずに良い環境にいる内に、身の回りにある小さな雑菌に弱くなってしまう。わずかしか触れていない雑菌に、耐える免疫力が低下するのだ。先人たちの多くの努力のおかげで築き上げた社会には、自然に自己免疫力を育むことのできない罠があるように思う。要するに自分にとって不愉快なことは成長へのチャンスだと考えていこう。耐えられる範囲の雑菌にさらされておくこと。あえて積極果敢に面白くないことに取り組んで、自己免疫力が高めていくことが大切だ。ずっとずっと社会は変化していくもの。未来はこれまで経験していないことが待っている。時代によって生まれてくる文化は異種なもの。しかし、それで揉まれて練られて成長できるのだから、世の中の雑菌を嫌な顔をせずに洗練を浴びて、免疫力を高めて生き抜いていきましょう！
■稲田絵美 個展 いつの時代も 2019年4月28日（日）～5月5日（日） 11:00-19:00 定休5月1日（水）
