猛烈な素人

「今日の芸術は、うまくあってはならない、きれいであってはならない、ここちよくあってはならない。私が主張する芸術の三原則だが、職人芸はまさに逆。うまく、ここちよく、きれいにできるものが職人芸であり、そこには芸術の生涯の真の感動がない。この世の中に何千年ものあいだにつくられた職人の作品は無数に残っているが、私にいわせればその多くが、つまらない卑しいものばかりだ」という岡本太郎の名言がある。

いわゆるルネサンス時代のすぐれた画家のほとんどは、教会やお金持ちの要望によって、目に映るとおりに描く絵を制作していた。要するに画家は自分が好きに自由に描くことができなかった。決められたモチーフを精密に描く職人技が求められていたが、カメラの登場してからは、何を絵で表現すればいいのかに創作の意義は変化していった。

半世紀以上前、太郎のこの言葉は当時の日本美術界が現実感のある表現に偏っていたことを憂いて発したのだろう。まず子どもたちのように、描く人にとって面白いという、本能的な衝動がなければならない。他人に見せるために描こうとは思わず、感動したことをそのまま描けばいい。今ここで自分が描きたいものを思い切り描いたらいいのだ。