結界

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日本には古来より神道において森羅万象に神が宿るという「八百万の神」の思想がある。これはあらゆるものに神が宿ると神格化し、その神々が力を合わせることで、自然界を守るという考え方だ。完全無欠なビックな神様はいないけど、その代わりに小さな神様たちが集まることで、どんな苦難を乗り越えられると信じられていた。言い換えれば弱いもの同士でも、それぞれの個性や長所を活かすことで、存在する意味合いが豊かになっていく。俺が俺がとでしゃばるのではない。一歩引いた謙虚な気持ちで補い合うこと。古から日本に伝わっている、美しい精神文化なのだろう。
そして、関連する言葉に「結界」がある。この言葉は仏教用語仏道修行に障害のないように、一定地域を聖域として定めること。聖と俗をわけるために使われる。神聖な場所には軽々しく足を踏み入れてはならない。なんでもないものであっても、そこには唯一の自立した存在価値がある。本当になくなったら他のものに影響していく。 だから秩序を守るために区域を制限する。お互いがバランスよく生きていくために、お互いの流域を汚すことなく、お互いの面白さを守っていくことだ。いわゆる決して自分の領域以外なことに口出しするのはよくない。知ったらしい顔で語ってもいずれボロが見破られる。つまり「結界」とは人間関係が円滑になるために心掛けるべき指針。人生を生きていくための大事な哲学なのだ。日本人の魂を燃やす素晴らしい文化だと思う。
■下瀬信雄展 2019年5月23日(木)~7月7日(日) 9:00-17:00(入館は閉館30分前まで) 休館 月曜日(ただし6月3日(月)、7月1日(月)は開館) 観覧料 一般1200円(1000円)、シニア・学生1000円(800円) ※シニアは70歳以上の方。( )内は前売・20名以上の団体料金。18歳以下および高等学校、中等教育学校、特別支援学校に在籍の方等は無料 山口県立美術館 山口市亀山町3-1 http://www.yma-web.jp/