共栄共存

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下瀬さんの展覧会が始まって1週間。私は初日に作品を鑑賞した時から、これまでになかった感覚が芽生えて、視野が広がったような気がする。それは折に触れて近くの山々を見る機会が増えたこと。じっくりと眺めることはないけど、自然を楽しむこつがわかって、親近感が湧くようになってきた。この真理は「心ここにあらざれば、見れども見れず」という格言の如し。今ここにあるものにしっかりと気持ちが入れよう。そうでなければ良いものがあってもわからない。だらだらと動き回るより気持ちを落ち着かせて、のんびりと立ち止まって周囲を見渡たそう。そうすれば様々なものに良さを発見して、それらと支え合うことの有難さを知り心が豊かになる。
つまり幸せとは誰ものすぐそばに存在するもの。なんでもないような日常の中にあり、それに気付くことで幸せな気持ちになっていけるのだ。人はついつい何かしていない不安になって、いたたまれず手当たり次第に動いてしまう。そうやって身の回りにある豊かな世界を見落として、お金で買える虚飾に満ちたものに心奪われて、とんでもない方へ流されやすいもの。下瀬さんの作品には自然が私たちに伝えたいメッセージがある。人間は自然に勝つことができない。だから自然と共存することに気づかせて、それによって恵みを受けられるといった、太古の歴史より続く大原則が隠れている。やや辛口だけど喉とおりの良い純米酒のような味わいがいい。それはこの国のこの風土にあった写真表現なのだろう。ぜひ美術館にてじっくりとご堪能ください!
■下瀬信雄展 2019年5月23日(木)~7月7日(日) 9:00-17:00(入館は閉館30分前まで) 休館 月曜日(ただし6月3日、7月1日は開館) 観覧料 一般1200円(1000円)、シニア70歳以上・学生1000円(800円)( )内は前売・20名以上の団体料金。18歳以下および高等学校、中等教育学校、特別支援学校に在籍の方等は無料 山口県立美術館http://www.yma-web.jp/