童心

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その美術家は7月上旬のある日の早朝、子供の頃から慣れ親しんだ近くの浜辺で、まる1日ほどかけて打ち寄せる波を数えることにした。それはただ黙々と24時間にわたって、ひたすら波を見ては数えていったのだ。このことについて「どういうコンセプトなの?」と問いただしたら、おそらく「どれだけ波の数があるのかを知りたかっただけ」と堂々と答えるだろう。まったく子供の頃から変わらない困った性格だ(笑)。なにごとにもビビッと来た直感を信じて突き進んでいく。それは「果敢さ」を通り越して「向こう見ず」だと言われるかもしれない。だけど、実際にその場所へ行って、自分の眼で確かめたい。実際に足を運んで感じたことはすべて活力になる。このたびも彼の純粋なポリシーが会場に漂っていた。
つまり百聞は一見にしかず!本物に触れることによって、イマジネーションは膨らんでいく。本当に自然に感動したからこそ、インスピレーションは強くなっていく。自然の中で子供のように自由に楽しんで遊んでいるうちに、結果として創作するために必要なことが芽生えてくる。彼はそのことを理屈では理解していないが、本能的に必要なことだとわかっている。弱そうに見えて弱くない野の花のように、土の中にしっかりと根を張った遺伝子があるからだろう。これからもこれまでと同様に外遊び(自然の中)をして、さまざまな刺激を五感に与え続けて、個性豊かな想像力が活発になることを祈っている。君にしか行くことのできない秘密のドアを開けてくれ!
■保手濱 拓 時をなぞろ 2019年8月21日(水)~9月1日(日)9:00-18:00(最終日は17:00まで) 休館 8月26日(月) クリエイティブ・スペース赤れんが 山口市中河原5-12 http://www.akarenga.justhpbs.jp/