分け入っても分け入っても青い山

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「分け入っても分け入っても青い山」とは、防府市生まれの種田山頭火俳人として生きていくことを決心した時に詠んだもの。夏山の青々とした美しさを連想させて清々しさを感じますが、実はそれだけではなく道なき道を歩き続けて、行けども行けども青い山は続いてなかなか目的地に届かない思いと、旅の中に人生とは何かを問いただし続けていく、山頭火の心情を重ね合わせているのではないでしょうか。
私は保手濱拓君に山頭火と同じような世界観を感じている。それは彼が2015年に山口県美術展覧会で大賞を受賞する直近の1年間、秋吉台芸術村など3か所でレジデンス(滞在制作)を行い、さらに京都のお寺に出向いて短期修業をするなど、自分自身の可能性を知るために追い込んで、とにかく無我夢中にもがいていたからだ。正直、そこまでやらんでもいいことを、それをやらずにはいられないほど、真面目で不器用だから仕方がないのでしょう。なぜなら創造へ世界に全身全霊の力で体当たりすることで、体感して味わうことができた感覚を、創作として表現するのが彼の作品の特徴。そこが彼の愛すべきチャームポイント。大切なことは美術と向かい合っている時は自分と素直に向き合うこと。どこまでも効率の悪い原始的なやり取りは、遠回りをして観察した質実剛健さがあって、根が深く育っていく豊かな土地になることでしょう。誰になんとでも言われても、これしかないの思うなら、そのまま突き進むがいい。美術家になる夢は自然のままに。まわりの意見に左右されずに、自分自身の信念を保ち続けていこう!
■保手濱 拓 時をなぞろ 2019年8月21日(水)~9月1日(日) 9:00-18:00(最終日は17:00まで) 休館 8月26日(月) クリエイティブ・スペース赤れんが 山口市中河原5-12 http://www.akarenga.justhpbs.jp/