これでいいのだ!

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10数年前、ギャグ漫画の巨匠 赤塚不二夫氏の天国への旅立ちの日に、強い繋がりがあるタモリさんの弔辞の言葉に感動させられた。「あなたの考えは、すべての出来事、存在をあるがままに、前向きに肯定し、受け入れることです。それによって人間は重苦しい陰の世界から解放され、軽やかになり、また時間は前後関係を断ち放たれて、その時その場が異様に明るく感じられます。この考えをあなたは見事に一言で言い表しています。すなわち、これでいいのだ!」。

いわゆる人はなんでも良いことだったら、ニコニコしながら諸手を挙げて、愉快に楽しんでいくだろう。その反対に意図しないことだったら、自分に責任の矛先を向けず、何かのしわざにしやすいもの。嫌なことは言い訳して回避しようとするのだ。そうやって好き好きな世界に染まってしまうと、多様な社会の中で生きるバイタリティさがなくなり、どんどん向こう見ずな考え方をするようになっていく。新しく何かを想像していくこと、変化することができなくなるのだ。

だからこそ、在るがままにすべてのことを受け入れる寛容な心を大切にしよう。どんな現状であっても「これでいいのだ!」と肯定することで、前へ進むためのエネルギーが活性化されていく。赤塚氏の漫画はいつもアクセルを思いっきり全開させて、目先の結果を恐れずに独創的なギャグに情熱を燃やしていった。その瞬間に最善の努力を尽くすことで不思議な空気が生まれ、私たちが見知らぬ世界の旅を楽しませてくれる。つまり「馬鹿なことを真面目にやる」というアカツカイズムは、あちらこちらに頭をぶつけながら本質を感じ、「これでいいのだ!」と悟っていくバイブルなのでしょう。