暗黙の了解

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美術には「暗黙の了解」と言うべき謎のルールが存在する。それは誰でもわかりやすいルールではないいうのか、それぞれの美術家が個別に自分の個性を活かすルールを作成するため、基本的なことは同じであっても全部同じにならない。いわゆるグレーゾーンと呼べばれる曖昧さを良しとし、およそ美術だと思われるものやこれから美術になっていきそうもの、または人によって変わっていく個性を尊重するために、寛容な解釈を持って楽しめるようにしているのだ。

ただし、「暗黙の了解」の自由度を高くし過ぎると、その責任の負い方をよく知らない人がやたら自由な面ばかり強調して、なんでもかんでも良いではないかになってしまう。いくら憲法でも表現の自由が保障されているからって、鬼の首を取ったように濫用されたら、せっかく曖昧にしてることが台なしになる。だから表現の自由のいいことばかり、プラスばかりでないことをよく知ること。マイナスのリスクがあることを十分に喚起しないと、表現の自由は理解できないものになるだろう。

つまり、今の時代は「暗黙の了解」というものを、あらためて見直して表現の自由についての意識を高めた方がいい。昭和時代のようにガチガチな厳格さは必要ないけど、「公徳心」という言葉がないがしろなっていることが目につき、美術界でのマナーやエチケットが機能していないように思える。いろいろなことをきちんと守ってこそ、美術として成り立つものになっていく。目に見えないルールをわきまえて、自由を謳歌していきましょう!