アートイベント

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先日の教養バラエティー番組『日曜日の初耳学』の人気企画「インタビュー林修」には飲食店プロデューサー稲田俊輔氏が出演。その最初の話題「カツカレーが嫌い」では以下のようなユニーク視点から内容でとても面白かった。
日本人はカレーを見たら何をのせたくなる民族。のっけるもののうち、何がいいかと言えばカツが王様になる。そこで「大好きなカレー」、「大好きなカツ」が合わさったら、(幸福度は)1+1=2とか3とか4にもなりそうなのに、実際には1.5くらいまでしか上がらない。つまり、カツが本当に美味しい店は(必要がないから)最高に美味しいカレーを作れない。同じようにカレーが美味しい店はカツを揚げる技術を持っていることは非常に少ない。だから、1+1=2にならない料理。カツとカレーは別々に食べたい。カツカレーが好きじゃなくて、カツとカレー好きでいいのだ。
ちなみに私はこのカツカレー論を見ているうちに、近ごろやたら「アート」と「イベント」を無理矢理に結び付けて、観光振興や地域おこしによく利用されていることを思い出した。アートは芸術性が高くなると一般の人には受けないため、ほどほどの作品レベルでなければ多くの人たちが集まる可能性は低くなる。したがって大多数の人に受けるアートばかりが重宝され、インパクトの強い先端的なアートが脇に追いやられてしまうのなら、本当の意味でアートに親しむためのイベントとは言えない。アートイベントは個性的で尖ったものと、みんなが好きなものを、バランスよく展示することが大切になるのだが、それは矛盾が生じやすくなるため、そう簡単には上手くできないだろう。