発展途上

先週の木曜日は、りおた君の広島個展搬入のお手伝いと、その前に、広島在住の美術家 にしもとまゆこさんの個展「れいおぶらいと」へ出向く。にしもとさんとは、昨年12月に自身が入選された県美展会期中に知り合い、その後、SNSで美術談義をしながら親しくなったので、この目で実際に観るために駆け付けた。
たいていの美術家は、年齢とともに作品数や知識量が増えてくると、その分、新しいことを想像することが苦手になりやすい。それは経験が豊富になるにつれて、直感的なひらめきが圧迫されて、フワッとイマジネーションが浮かびにくくなる。いわゆる年齢を重ねることで、これまで見聞きしたことも加わり、おおいに惑い始めてくる。この場合、なにが大事にすればいいのかを考え過ぎて、感覚的なキレが悪くなってしまうのだ。
にしもとさんもいろいろと悩んでいた。年齢が40代であるため、若い世代とベテランの世代に狭まれて、自分の立ち位置や個性の出し方に惑うばかり。多様な考えや価値観を活かし、自分らしさを発揮するために、創意工夫と試行錯誤を繰り返す。私はこれだけ美術と純粋に向き合う姿に敬意を表した。40を超えて創作に苦しむのは感性が若い証拠だ。まだまだ成長できることを本能が感じている。今やるべき課題や面倒から目を背けずに、真摯に創作と向き合って格闘している。美術家はこういう姿勢でなくてはならない。豊かさとはいろんなこと味わって深めていくから。これからも期待している!とことん美術を堪能してください。