シン彩祭アート

2005年8月、夏祭りの出しものや縁日ように、心を明るくする鮮やかな色彩をテーマに、7人の美術家が参加して第1回の「彩祭アート」を開催する。当時、急速にインターネットが身近になり、SNSの第一子と言えるブログが普及し、これまでになかったコミュニケーションは新鮮そのもの。かくいう私もブログを通じて遠方の方々と知り合い、お互いのちょっとした日常を語り合いながら、それなりに楽しい時間を過ごすのであった。

とは言うものの、出会ったことがない人との対話には気をつかわされる。なにせ、実態がよくわからないのだから意外と難しい。些細なことで揉めごとになっているブログを目撃しては、他山の石として教訓にすることが多かった。兎にも角にも人間関係が大きく変わる節目。この2年前に近くに山口情報芸術センターも開館し、コンピューターで制作された映像表現なども登場。21世紀という言葉がしっくりとくることばかりだった。

 そんな時代であり、かつ、地球温暖化で半端でないほど気温が上昇した真夏に、カラフルな色彩で暑さをぶっ飛ばすことをコンセプトにした作品展を企画する。その時の出展者のひとりである岡本よしろう君。実はこの彩祭アートは、彼が絵本作家へ挑戦するため、山口を離れることでお開きになった。やはり、核となる人物がいなくなると熱量が下がって潮時になる。だけど、あれから12年経って現世は様々なことで暗雲立ち込める。とても重苦しい時代だからこそ、あの頃の熱気を再び起こして、明るい雰囲気を楽しみたくて、新しい面々でシン彩祭アートを企画しました。どうぞいろいろな個性が集う作品群をご覧ください!