温故知新

昨日の午後は、この日から始まった「ギャラリーシマダ アーカイブ展」の会場へ。ここ数年、末永史尚君が調査研究してきたことを拝見させていただく。ちなみにギャラリーシマダとは、1984年に山口市中心商店街に、地元出身の美術家 嶋田日出夫さんと奥様が留学先のドイツから帰国後に、海外の現代アートで活躍する作家や作品を取り扱うために開設したスペース。

当時の日本は美術団体や協会などが幅を利かせて、現代アートはマイナーで少数派だった。世の中は保守的であり、封建的であり、要するに閉鎖的だった。そんな時代に新しい風を巻き起こしていく。先進的な表現力で創作する実力者たちを山口へ次々に招いて、地元の美術館や大学の研究者、美術家たちに一般の方々とも連携して、アーティストトークやシンポジウムなどを企画し、美術作品の媒介することに留まらず、山口に現代アートの息吹を根付けかせていった。

8年後、東京にも開廊されて、さらにスイスで開催される世界最大規模のアートフェアに出展するなど、2003年に閉廊するまでの間に、数多くの実力派アーティストを取り上げて、海外の美術に触れる機会が少ない時代に、大きな役割と存在感を示していました。このたびの展示ではギャラリーシマダの活動の中から、空間としても美しく感じる作品展の展示模様を縮小模型で再現して、今も色褪せないシマダイズムのアートシーンを振り返っていく。個人的な観た感想を言えば、埋蔵された尖った感覚を何も壊さずにきれいに発掘した末永君はよくやったと感心した。