島国根性

いわゆる島国根性という言葉がある。それはつまり、周囲を海に囲まれた島国に住むため、地理的にも大陸から離れているし、文化的にも隣国の人たちとごちゃまぜにはならない。その結果、他の国の考え方から外れたり、交わってもまれてないため、視野が狭く閉鎖的で小さなことにこだわる。自分たちの殻に閉じこもりやすく、外部のものを受け入れず、独自のルールで頑固に生きる精神性のことを言う。

だけど、今の時代は違う。日進月歩で交通機関や通信などが発達して、さまざまな分野での交流が盛んになった。それに伴い、私たちは何かに興味を持たずに日々を過ごせなくなる。メディアを通じて、世界中の情報を簡単に楽しんでいる。この数年間はコロナ感染症でこのような社会が停滞したものの、ようやく出口が見え始めてきた。これまでより速いスピードでグローバル化は進むだろう。

このたびの県美で開催中の「佐藤健寿展 奇界/世界」。皆々、内向きになっていた心を不思議な世界観で解き放つ。日本にない得体も知れないものに好奇心を掻きてて、縮こまっていた身心を大きく伸ばしてくれる。なんてタイムリーな展覧会だ。開幕して連日の賑わいに納得する。なぜなら、みんな奇妙なものに酔いしれたい気分に違いない。