好きの力

昨日のNHK連続テレビ小説「らんまん」の冒頭で、神木隆之介さんが演じる主人公 槙野万太郎は「ワシっ飛びっきりの才があるがよ。植物が好き、本が好き、植物の絵を描くがも好き。好きってという才があるがよ。それは峰屋に生まれたけいこそ、育ててもろうたんじゃ。じぇけ、ワシは何もんかになりたいじゃよ」と、ずっと悩みに悩んだ末に、酒造業の跡取りを捨てて、裸一貫で生きる決心をした万太郎の祖母タキに告げるシーンがあった。

この言葉を受けてタキは「おまんの言う植物の道は、仕事になるかもわからん、一生を棒に振るかもしれん。そのために生きてええがかね?」と、万太郎に問うと、「なんちゃらもならんかもしれん。けど呼ばれちゅうがよ。この日本にどればあの種類の植物があるか、まだ名前も付けられちゃあせん草花の本当の素性を明かして、名づけ親になりたいがよ」と、万太郎は不退転の決意を思いっきり語るのだった。

私はこの場面は見て、美術家を志す人にも見て欲しいと思った。果敢になろうと目指したところで、実際にはなれないかもしれない。だけど、自分にしかできないものが必ずあるはず。一つの目標に向かって全力を注いで生きていく。とにかく、何が何でもやらねばならない使命感で生きていく。つまり、好きなことをやり切ろうという覚悟があれば、直面する困難はやりがいがあることと考えて、一途に信じて行動していけるのだろう。