その作品集には「言葉や科学が生まれる前の世界では、万物は未分類で、分かち難く一つであった」という一節がある。これは基本的な本能は人も動物も植物も同じだ。理路整然としなくていい。本能に身を委ねて生きていくことは、そのものにとって一番美しい姿だと言いたいのだろう。
この理念は「Afternote」でも同じだ。戦後から高度成長していく時代は、繁栄を信じてみんな我武者羅に働いた。そんな人々に映画は最高の活力源。映画館では現実を忘れて夢を育み、また、フラットな人間関係になれた。だからこそ、その息吹に触れると心地いい。生きとし生けるすべての生命は平等だ。彼のメッセージは実に美しい。心に染みるものばかり。