ハングリー

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日本プロ野球に大きな足跡を残した王貞治氏。その語録に「下手なら人の倍、練習するのは当然でしょう。それを特別なことのように言うのは、美しき誤解ですよ。一流になりたければ、まずおそれを知ること。不安や恐れと闘って勝つためには、必死で練習するしかないんです」がある。私はこの言葉に触れた時、正に昭和のスポーツ根性マンガを地で行く人だと思った。また、当時のチームメイトに1年先に入団した稀代のスター長嶋茂雄氏とがいたことで、プロ野球選手として評価されるための目標の設定は、必然的に高かったことが想像できる。上には上がいることを肌で味わい、落ちこぼれてしまうことを恐れて、ひたすら向上するために鍛錬していった。さすが天賦の才の持ち主に負けず、とことん努力をして伸し上がった方だ。

ちなみに、美術大学へ進学する意味とは、創作活動を第一線で活躍する先生や先輩、ともに夢を見ている仲間でもあり、競い合うライバルでもある同級生たちと出会うためだ。言い方を換えれば、自分より凄そうな連中と切磋琢磨することで、美術の素晴らしさを認めて敬意を払い、身を慎んで思い上がることなく、理想の美術家を目指して創意工夫するためにある。つまり才能は持って生まれたものより、後天的なものを地道に伸ばしていけばいい。例えスタート地点では出遅れていても、ありきたりのセンスだと言われたとしても、こつこつとやり続ける人が生き残っていく。やはり成功できる人は、危機を感じて生きている。いつも自分はまだまだ未熟だと思うから、地道に創作を積み重ねていけるのだろう。