普通って日に感謝するのみ!

昨日は開店準備中から来場者にめぐまれる。ひさしぶりに雨の降らなかった土曜日。みんな外に出たくてうずうずとしていたのだろう。自然に明るい雰囲気がにじみ出て、心なしか嬉しそうな様子が伺える。まだまだマスクをした人の方が多いけど、ピリピリした空気はもう漂ってこない。あれこれ余計なことは考えないで無心になってきている。ここ数年の緊張感から解き放たれて、目だけでリラックスしていることがわかる。ゆっくりと作品の前に立っては、のんびりと鑑賞する姿が増えている。

もちろん、油断することは禁物であるけど、大きな山を越えたことは確かだ。あのネガティブな空気は払しょくされつつある。平凡な日常生活をどんどん取り戻し始め、作品の味わいを楽しめるようになってきた。それぞれが感性を使って、ピンとくるものを探し出して、美術談義に花を咲かせている。ただし、コロナ感染症流行前の社会に戻ったのではない。人々は前代未聞の苦難にたくさんのことを味わう。だから、平穏を大切にしたい気持ちで一杯だ。小さな仕合せに心寄せて噛みしめる。そんなやさしい思いは次々に紡がれて、気が付けば、閉店時間を大幅にオーバーする。嗚呼、なんて有難い。普通って日に感謝するのみ。