頑是ない

中原中也の詩『頑是(がんぜ)ない歌』の冒頭に「思えば遠く来たもんだ 十二の冬のあの夕べ 港の空に鳴り響いた 汽笛の湯気は今いずこ」という言葉がある。ちなみにこの『頑是ない』とは、幼くて物事の善悪などの判断がつかぬこと。明るく純真で無邪気な心で生きていることを意味する。

そう言えば小学6年生の時にクラスの誰かに、年男は満年齢でカウントされるため、産まれてから最初の年男だと教えてもらった。当時はなんでもかんでも知ってくれば、それだけで賢くなったような気がするので、こういう豆知識はスッと頭に入っていく。肝心要の学校の勉強は入ってこないのに、どうでもいい雑学はいとも簡単に覚えられた。

しかし、この無駄な習慣は大人になってから大いに役立った。見知らぬ人に会った時に小ネタを使って場の空気をほぐすと、一気に相手との距離が縮まってコミュニケーションは円滑になる。または、人間関係のわずかな隙間を雑学で埋めて、フィットすれば盛り上っていける。やはり人生に雑事はない。人は知りたがり屋さんだから、子供のような素朴な話題でも、上手く活用すれば楽しく盛り上がれるだろう。