蓼食う虫も好き好き

ことわざの「たで食う虫も好き好き」とは、茎や葉に苦みのある植物を好んで食べる虫もいるように、人の好みはさまざまで一概には言えないことを言う。

人は誰でも独自の世界観を持っているため、同じ好きなことを達成しようとした時に、人それぞれの能力やセンス、育った環境などに応じて、異なるアプローチで取り組んでいけばいい。もう、かつてのような「みんなと一緒」という集団主義的な時代ではない。今は少なくとも多様性を認めて共生しようとする社会になりつつある。みすゞさんの「みんなちがって、みんないい」の詩の言葉がようやく実現しようとしている。

だけど、その恩恵を授かれるはずの人たちの反応は意外と淡白だったりする。せっかく手に入れた個性的に生きることの貴重さがよくわかっていないのかもしれない。それまでと風向きが大きく変わって、自由というかけがえない宝を持て余し、自然に手にすることができると考えている様子がある。やはり可愛い子には旅をさせよだ。苦いものを味わったことがなければ、甘いものを得た時に歓びなんてものはない。