レジェンド

少年時代、身近な風景を絵に描くことや飛行船などの模型を制作に没頭していた。自分の手で何かを作ることはとても楽しい。上手く出来上がった時の喜びはひとしお。遊びなんだけど本気になれるから素敵だ。モノをつくっていくことの原点と出会う。いくつもの小さな感動を味わい、いくつもの大きな夢を育んいった。こうやって創造への旅の第一歩を踏む出していく。しかし、その人生は波乱万丈で、本格的なスタートは40歳を過ぎてから。このままでは駄目だと焦燥感に駆られて、思い切って東京へ飛び出し見聞を広めていった。そこで巡り合った視覚障害者の文字である点字

文字には形象性があるけど、点字にはまったくない。しかし、いくつもの点の組み合わせによって文字が決まる点字は記号のエッセンス。点字は機能化の極地とはいえ、一面においては現代社会の機能化の方向性を持っている。勉強をしながら、自分なりに展示の持つ機能性を視覚的に訴える技法を発見し、いろんな方向を模索しながら、これがオレだという表現に辿り着いた。だから点字との出合いは彫刻における空間性の第一歩であり、一生を運命づける決定的な動機になったのだ。

上記の言葉は、昨年1月に天寿を全うされた彫刻家の田中米吉先生の言葉。山口のレジェンドと言葉がよく似合う功績の持ち主であり、わたしたちに有形無形のアートの遺産を残して天国へ旅立って行った。そんな先生の人生を公私ともに約52年間を支えてきたヌマさん。このたび、クリエイティブスペース赤れんがで開催された先生の作品展では、多くの方々にいろんなことをお話しをして米吉伝説を布教していった。お疲れさまでした。これからも山口の様々な文化シーンを、その素敵なオーラで照らされて、みんな明るいエネルギーを与えてください。