熱意

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今週、親しい方から1本の電話がかかってきた。何ごとかと思ったら知り合いの高2の子が美大進学を考えている。このことについてアドバイスして欲しいという内容だった。嗚呼、なんて素晴らしい無茶ぶりなんだ!その子の人柄も実力もわからないのに、何かを言うことなんてできやしない。そこで私個人の意見だと前置きをして、以下のようなことを話してみた。

美術は瞬発力より持久力の世界。まれに見る天才はいるけれど、ほとんどはいろいろな経験を積み重ねて成熟していく。だから慌てて美大へ行かなくても、社会に出て美術が必要だと思ったら、そこから挑戦しても遅くはない。特にこれからの日本は美術だけを仕事にすることは難しい。現在の収集家は高齢化し、次世代は少子化と所得減などもあって、マーケットは小さくなってきた。取り巻く環境は大きく変化している。夢のような甘いおとぎ話をするのは失礼なこと。まずは生活するために選択肢を広げた方が得策なのかもしれない。

そんなことを理解した上で、それでも美術がやりたいのなら、第一関門は突破した言えるのかも。美術は美術に対する思いがどれほどあるのかが問われる世界。デッサンが上手くいかなかったり、想像力が平凡だと言われても、美術を続けられる人が生き残る。つまり自分から美術を好きになろうと努めること。美術の魅力に取りつかれて、目の前の創作に夢中になれること。そうするうちにいつの間にか美術漬けの日々になるだろう。美術家とは素質でなるのではなく、自らの後天的な努力でなるもの。まだまだ若いから「好きこそものの上手なれ」をモットーに、頑張ってくださいと助言しました。