発掘

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ひと昔前、お笑い界のガリバーである芸能事務所が、新しい感覚を持った芸人を育てるために専門学校を創設する。それまでの師匠の元で芸を磨く徒弟精度ではなく、伝統的な芸の枠に収まらない人材を求めて、新鮮なネタと自由なトークができる芸人養成所が生まれた。それとこの学校が生まれたもう一つ原因は、師匠クラスが経済的理由から弟子を取らなくなって、若手タレントの供給不足が始まったからだ。当時、従来の制度が機能しなくなりはじめ、タレントの供給源が枯渇しつつあった時に、先見の明がある経営陣の思い切った改革をして成功する。なんてたって第一期生はダウンタウン。今も売れているレジェンドだ。既成になかった発想を活かし、業界の在り方を大きく変えた。時代のターニングポイントを見逃さない素晴らしい決断だった。
そして、平成の美術界も徒弟精度は少数派になった。かつては美術家へ第一歩は書生や弟子になること。師匠の家で寝食を共にしながら技術を修め、さらに職人のように下働きした後に、お眼鏡にかなったら独立を許された。今はほぼ絶滅。良くも悪しくも時代が変わる。それぞれ長所と短所があり、比較は難しいが、今は今らしくやった方がいい。「新進アーティスト大賞」もそうだ。平成に生きる若者に勇気を与えた賞。ただし、発足時に想定していない効果が生まれて、いい流れに乗ったまま美しく着地した。つまり若者は何をするのかがわからない。様々な熱いエネルギーが集まって、坩堝の中で化学反応を起こすから、想定外の面白さが発生する。このたびの10年展。私なりに吟味して振り返ってみたい。とても楽しみだ。どうか皆様もご覧いただき、先入観の捉われないで、彼らの作品をお楽しみください。
■やまぐち新進アーティスト大賞10年展 2019年3月10日(日)~24日(日) 9:00-17:00(初日は10:00から、最終日は15:00まで)休館 3月11日(月)、18日(月)、22日(金) 入場無料 クリエイティブスペース赤れんが 山口市中河原5-12