志が定まれば

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展覧会の開会式でのスピーチが本当にカッコ良かった。特に吉田松陰先生へ敬意を表して、「松下村塾は約1年半という短い年月しかなく、生徒は落ちこぼれの方が多く集まったのに、この限られた期間に多くの人材を教育し、明治維新で活躍する逸材を育てることができた。私は東京の写真学校で技術や表現を学び、当時の写真界で腕を磨いていくには、萩に戻らずに残るしかなったのだが、子供の頃に明倫小学校に通い、松陰先生の言葉に触れたことを思い出し、萩からでも志があればやれるはずだと考え、萩から挑戦する決意しようと思ったのです」と要約すれば、このような内容のお言葉に感動した。
たしかに下瀬さんの作品は子供の頃に自身がよく遊ばれた萩の風景が多い。それらを長い年月見つめているうちに、いくつもの新しい発見をして、さらにこだわりが深くなっていく。そして、被写体をカラーから白黒に変えて表現したり、はたまた独学で作ったPCソフトを使い、写真だけでは創作できない世界にも挑戦する。自分のスタイルをどうつくっていくのか、写真家としてどう生きていくのか。すべては志が定まっていれば、どんな環境であっても、ハンディにはならないのだ。ただ一所懸命に励むのみ。やはり萩は今も熱い魂を燃やす空気が流れている。正面からは静かで温厚な人柄だけど、後ろ姿は幕末維新から続く情熱を感じた。
■下瀬信雄展 2019年5月23日(木)~7月7日(日) 9:00-17:00(入館は閉館30分前まで) 休館 月曜日(ただし6月3日、7月1日は開館) 観覧料 一般1200円(1000円)、シニア70歳以上・学生1000円(800円)( )内は前売・20名以上の団体料金。18歳以下および高等学校、中等教育学校、特別支援学校に在籍の方等は無料 山口県立美術館 http://www.yma-web.jp/