独り

私が中学生だった頃、ビートたけしさんが漫才のネタで流行らせたのは「赤信号、みんなで渡れば怖くない」。もちろん、このギャグは今も昔も立派なルール違反。このことに変わりはない。しかしながら当時の社会は真面目な人たちの方が多くて、四角四面の重苦しい空気が漂っていたため、窓のない壁に囲まれた部屋に開いた小さな穴のように、ホッとひと息つけるような役割を果たしていた。頬をさする程度のすきま風に癒されていたのだろう。

ただやっぱり小さなほころびを甘くみていると大きな失敗に繋がりやすい。ちょっとしたことだと思うことでも、積み重なったらマイナスが膨らんでいく。面白いからって安易に流されてはいけない。いずれ袋小路に陥って身動きが取れなくなる。とにかく少しでもまずいと感じたら、そのことを反省して断ち切ろう。失敗しない人なんていない。成長するための道中で出会ったことで、自分の恥ずかしさを知る機会だと思えばいい。自分を見直すためのチャンスにしよう!

それにしても今現在は「赤信号、みんなで渡れば怖くない」と思えることが増えてきた。もしかしたら義務教育の教科書に載っているのかもしれない。たった1人で正々堂々と歩くより、悪ふざけしながら群れ合っていく。美術の世界も流行っていることを、ただやっているような人を見かける。人と同じことばかりをやっていても何者にもなれない。自分一人の力で創作するために群れずに生きる習慣を持とう。そして、青信号の元で快適な運転ができるように技能を高めることが大切だ。

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