われらの姉さん

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最初にその人を見かけたのは中学1年生の文化祭だった。ダイナミックな水彩画に驚かされる。大きな画用紙にいきいきと描かれていた。どんな人なんだろうと名前を見ると同じ苗字。たしか姉以外にいなかったはず・・・。そんなことを思っていたら、偶然にも作者らしい車いすに乗った女性がいた。まったく見知らぬ人。誰なんだろう?全くわからなかったけど、次のことに興味が惹かれて、その場を立ち去っていった。

次に会ったのはいつだったか?こちらの方がハッキリと思いい出せない。おそらく高校生の頃だった。そして、なんとなくギクシャクしたやり取りをしたと思う。お互いにコミニュケーション能力が低かった。理由はそれだけ。ただし冗談が通じるから仲良くなれるような予感がしていた。その数年後、ミスタードーナツの障害者研修派遣事業で渡米する。彼女は7か月に及ぶ米国での自立した生活を経験して人間性が豊かになった。悶々と家の中で静かに生きる生活から、積極的に外へ出向いていくようになった。バークレーでのオープンなプログラムによって、自己肯定をできるようになって、自分らしく生きる勇気が生まれたのだ。

以後、市内を縦横無尽に電動車いすに乗って動き回る。思い切って新しいところに飛び込んだり、今まで出会ったことのないタイプと付き合ってみる。さまざまな性格の人たちとの交遊を通じて、人間性はまずます豊かに育まれて、あたたかい雰囲気が伝わる作品の輪は広がっていった。やはり本来の自分の資質に自信を持つと人間関係は良好になってくる。いくら上手く立ち振る舞って演技しても、中身が何もなかったらメッキはすぐに剥げてしまう。そのやりたい気持ちが本物でなければならない。人は誰でも本気になることで、背中から魅力的なオーラが生まれて、素敵な仲間たちとの組み合わせに恵まれる。これまでも多くの教えをありがとうございます!これからも私たちの姉さんとして、みんなを愉快にまとめてください。よろしく!