それはまるで阿吽の呼吸。お互いがお互いの作風を理解し合っているため、作品のコンセプトや微妙な表現については、深く語り合うコミニュケーションは必要なかった。だからといって、この時の二人はよく語り合っていたのだが、そこにあったやり取りは実のところ言葉ではない。心と心によって生まれる交流でだった。創作へ迷いやためらいをいろいろと感じてしまう、心のデリケートさを共感できるからこそ、友情は深まって尊重し合える仲になった。悲しいことや辛いことは避けたいと思うもの人情。わざわざ苦境に立ち向かう人はいないだろう。だけど、楽しいことや嬉しいことよりも、悲しいことや辛いことの方が人としての魅力を磨いていく。そんなことを直感的に感じあっているから、戦友と言うべき絆があるように思える。
つまり二人の間には「大丈夫、次こそは上手くなるはずだから、その調子で頑張っていこう!」という暗黙の了解が存在する。少しでも目標に近づくことができた時、想定していた以上に作品が上手く出来上がった時、だめだこりゃと思っていたことに可能性が生まれた時など、自分一人では自信が持てない場面で、それぞれの背中を押し合う素敵な関係が成り立っている。創作への自信とは誰の目にも明らかな価値観ばかりではない。華やかで目立つことばかりをやったら評価されるのではない。たとえわずかでも真心のこもった愛のある言葉に励まされることで、新しい挑戦へ向かう勇気が生まれ、努力するためのエネルギーが湧いてくる。お互いがお互いの応援団になること。「できたぞ!」という歓喜の声に、「良かったね!」と、ただ普通に称える声は、頑張ることの良さを芽生えさせる。
これからもこの調子で切磋琢磨してください!小さなでき