転じて

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人生はいつも良い日ばかりではない。望むと望まざるにかかわらず、身の回りには様々なことが起きて、悲喜こもごもに翻弄されていく。ことわざの「禍福は糾える縄の如し」とはよく言ったもの。人間の幸福と不幸は表裏一体で代わる代わるやって来る。人生は楽しいことばかりではない。しかし、辛いことばかりでもない。楽あれば苦もあり、苦あれば楽もあり。これらを数えきれないほど味わいながら生きていくのだろう。

今から40数年前、特別支援学校の環境はまだまだ不十分だった。そのため学校で勉強することはほとんどなく、週何回か教師が自宅を訪れては、基礎学力を学ぶ日々を送っていた。つまり子どもの頃は家の中にるばかり。このような単調な生活では1日がとてつもなく長かった。そこで絵を描くことと、本を読むことを行うようになる。どちらも大好きなこと。どんなにやっても飽きることはない。とにかく楽しいから朝から晩まで夢中になっていたのだ。

そう、この時代の経験が血となり肉となった。つまり彼女の人生はピンチをチャンスへ変えてしまった。学校で学習する機会は少なかったが、それを上回ってしまうほど、着実に才能を磨いていくことができた。自発的にやり始めたことで充実した時間となり、その繰り返しが積み重なって、素敵な感性に育まれていった。やっぱり人生はきっとなんとかなるもの。たった一度だけしかないのだから、周囲を見渡してできることに取り組もう。自分を肯定して明るく前を向いて歩んでいく。自分の居場所は自分の手でつくって、自分らしく生きることが大切だ。