豊かな感性とは

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漂泊の俳人 種田山頭火の句に「山あれば山を観る 雨の日は雨を聴く 春夏秋冬 あしたもよろし ゆふべもよろし」がある。この句は目の当たりに広がる大自然は、四季折々どの季節であっても、いつも見応えのある景色をつくり出してくれる。人の一生も同じようなもの。人生はいろんな出来事があって、喜怒哀楽、さまざまな心模様が生まれてくる。そのすべてを在るがままに受け入れてみよう。例え雨が降っても、それに一喜一憂はしないで、雨音を楽しむくらい余裕を持とう。晴れの日ばかりにこだわってはないけない。どんな時も自分らしく生きることが大切なのだという意味だと思う。

つまり人生を豊かに感じられる人とそうでない人は、もともとの素質で決まっているわけじゃない。日常の生活をどのように感じながら過ごすことで決まっていく。よく私の人生は面白くないという人がいるんだけど、面白くないんじゃなくて、面白さに気が付いていないことの方が多い。だから運が悪いなんて思わないで、人生は心がけひとつで気持ちよくなるものと、徹底的に信じていくことが大切なのだ。とにかく何かひとつでも豊かに感じられたら、あなたの周囲の風景は少しだけ味わいが深くなる。そう、ほんのちょっと立ち止まり、360度を見渡せたのなら、人生の醍醐味を堪能できるようになれるでしょう。

人生とはその人にしかない物語が準備されている。一所懸命に自分らしく生きようとすれば、素敵なドラマに気が付いてワクワクし始めるもの。そして、感性が豊かになった人がいるだけで、周囲は明るく照らされていって、豊かに感じるものが大きく広がっていく。このことは高杉晋作の辞世の句、「おもしろきこともなき世を面白く」と、付け加えられた「すみなしものは 心なりけり」に、わかりやすく表現されている。豊かに感じられるチャンスは誰にだってある。だから、まずは心の豊かさを意識しなければ始まらない。豊かな人とそうでない人の差は紙一重。あとは感性を磨いていくか、そうでないかの差しかないないのだろう。