挨拶

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昨日、いつも元気よく挨拶してくれる若者がやってきた。本当に元気溌剌な時もあれば、それなりに心が凹んでいる時も、とにかくこちらを見つけるなり、声を出して柔らかく会釈する。私は曹洞宗の高校に通ったため、禅についての授業があって、その中で挨拶とは、もっとも重要なことだと習った覚えがある。なぜなら挨拶とは修業の進み具合いや悟りの深浅を確かめる行為のこと。それが次第に修行者同士の切磋琢磨しながらお互いに励まし合うやりとりになり、さらに広い意味で出会いの際に親愛を表す言葉として使われるようになったのだ。

若者はそんなことをきちんと知っていると思えないが、三世代同居の家庭環境で育ったおかげで、いつの間にか祖父母に影響されて、挨拶することが身についたのだろう。自然に親しみやすい挨拶ができるため、多くの人たちに可愛がられて、チャンスに恵まれている。おそらく道元禅師の「愛語よく廻天の力あり」という言葉のように、たったひと言でも天地をひっくり返すほどの威力を持ち、言霊が宿るため運命をも変えてしまうほの力がある。だからこそ、挨拶をして相手の気持ちを感じるだけではなく、自分の思いを相手に伝える手段にすることが大切だ。

つまり人生は挨拶した数だけ出会いがあって、挨拶した数だけ何かが始まっていく。挨拶は人と人との関係をよくする特効薬のようなもの。正しく使っていけば、素敵な効用が生まれてくる。渡る世間に鬼をなくすために、出会いの入り口で使う挨拶に気を付けて、自分の魅力を受け止めてもらいましょう!