火事場の力

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人は誰でも何か新しいことに試んでいこうとする時、ここ一番の勝負に参加せざるを得ない時、極めて大事なことをやらなきゃいけない時などなど、心臓がドキドキと高鳴るほど緊張してしまうもの。それは精神的な重圧が全身に行きわたり、これからやるべきことに気持ちは集中して、最善を尽くしてやろうという意思の表れで、緊張することで心の芯にある力が発揮されるからだ。いわゆるプレッシャーから逃げて、ダラダラしているようでは使いこなせない、本当の自分の実力を引き出すために必要なルーティンなのだ。半端ない張り詰めた空気が人をたくましく育てていくのだろう。

これと同じように美術作品を制作する人にとっては、ほどよいくらいの緊張感がなければならない。鑑賞者から高い評価を得るために、プレッシャーを感じながら創作すること。これまでになかった感覚で表現していけるようになるだ。だけど、誰もがはじめからタフな精神力を持ち主ではない。みんな自分の弱さと戦いながらハートを鍛えている。だから頑張って駄目だったとしても、それは浅い傷にしかならず、才能がないなんて考えなくてもいい。作品を制作すれば失敗することもあるけれど、それによって足らないことが具体化していく。美術はどこまでも成長できる可能性を求めていけるから、素晴らしい作品という課題を乗り切るために、創作意欲に刺激を与え続けていこう。

つまり切羽詰まれば、必死の思いが生まれて、あらゆるもの本質が見えてくる。火事場の力が出てくるほど、本気で努力することが大切なのだ。最後は神頼みではない。人事を尽くして天命を待つくらい、一歩引きさがって謙虚な気持ちでいること。今、自分にできることをやりきって、プレッシャーに立ち向かったら、潜在能力のスイッチがオンになる。自らの意思でプレッシャーに飛び込んで、個性豊かなエネルギーを発揮させていきましょう!