新聞

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朝日新聞の連載『折々のことば』。先日、掲載された「黒と白の鍵盤でできているアコーディオンとおなじに、言葉は黒(文字)と白(紙)でできている」という一節に引き込まれた。さらにその解説文の「さまざまな色彩、微妙なニュアンスにみちみちた音の世界」が、黒と白、2色の鍵盤から生みだされる不思議。ピアノのみならず楽譜もそうだし、デッサンやクロッキーもそう。そして書物。白い紙と黒い印字だけ。そこに世界がぎっしり詰まっている。人類は乏しさに挫けてはこなかった」にも感激し、しばしあれこれ思いをめぐらせてしまった。

いわゆる表現手段は白と黒ばかりではない。その間には多種多様なものが存在している。濃淡の強弱から生まれる無限のグレーゾーンがあって、これをどのように活かすかによって、さまざまなバランスが大きく変わってくる。言いかえれば、そこをセンスよく使いこなすこと。全体的にバランスよく配色されることで、美しいや鋭いなどの表現として成り立っていく。だから美術家と評価されたいのなら、このグレーゾーンを味方につけなれば、決してそうは思われないだろう。この『折々のことば』は、一番基本的なことをあらためて学び、考えさせられる機会になった。やはり新聞には多くのヒントがある。大事なものだ。