雲中一雁

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「(雲中一雁とは)雲の中で群れに遅れたのか、はぐれたのか、一羽の雁が飛んでいく。絵描きの自分もそんなもんかなと」という安野光雅氏の名言がある。

この意味は、本来、群れをなして飛び鴈が、そこから離れてたった一羽になって、前がよく見えない雲の中に入っても、その身を天命にまかせて堂々と飛んでいく。そういう姿と自分を重ね合わせて、画壇の群れの中で安穏と生きることより、たったひとり、マイペースで大好きな絵を描くことを楽しみたい。地位も名誉も欲しがらず、誰かと比較し合うこともなく、絵を描くことだけやっていればいい。どこまでも孤高の精神を貫いて自由に創作することが大切なのだ。

一昨日、Eテレ日曜美術館でアンコール放送でこの言葉にピンと来る。これまでも何度か触れていたはずなのに、初めて耳の奥まで響きわたったのは、やはり自分が歳を取ってきたからだろう。番組を見て、画家の王道を学び、もっと勉強しようと思わされた。