そうせい

f:id:gallerynakano:20210704224239j:plain


幕末の長州躍進を陰で支えた藩主・毛利敬親公。 18歳で家督を継いで、慢性的な財政難を克服するために、中級武士であった村田清風を抜擢し、藩政改革を断行して立て直しに成功。また、幕府からの度重なる圧力にも絶え、有能な藩士を輩出して、明治維新を成し遂げた功労者の一人だ。

その口癖は「そうせい」。いつも口にしていたため、「そうせい候」とあだ名がつくほどのことで、実際に信頼のおける家臣から何を提言されても、すべてをまかせて思う存分好きなようにやらせていた。生まれや身分、年齢などにとらわれず、優秀な人材が集まっていたことで、後ろから見守ることに徹していたのだろう。

ところで、私もここ最近「そうせい」と言いたくなることが増えてきた。数年前なら、あれこれ助言したいた若者たちが成長したため、今はこっちの方が教わることが増えてきた。つまり、私では思いつかないような若い視点から、美術へアプローチするセンスは実に面白い。そういうものを活かして創作へ挑戦する姿を見れば、思わず「そうせい」と背中をポンと押したくなる。「大名という者は家臣に対して好き嫌いをしてはならない。海のように広い心を持たなければならない」というのは敬親公の信念。私も負けずに同じように懐の深い人間を目指していこう。