赤信号

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40数年前、ビートたけしさんは毒舌漫才で一躍人気者に上り詰める。当時、日本はまだまだ生真面目な人が多く、四角四面の価値観が幅を利かせて、さまざまなことに柔軟性が欠けていた。どこか窓のない壁に囲まれた部屋の中にいるような閉塞感が漂っていた。そんな時代に、たけしさんの過激なギャグは社会に風穴を開ける。ちょっとした新鮮な空気を感じさせる役割を果たしていた。常識の中で生きていくプレッシャーに疲れていた人たちに、非常識で破壊的な発想が安らぎのように感じさせたのだろう。

ちなみにその時代に「赤信号、みんなで渡れば怖くない」が流行った。もちろん、これは今も昔も立派なルール違反。このことは永遠に変わりはない。しかしながら、それまでの常識を打ち破るインパクトがあって、革命が起きたような錯覚をもたらして、人々の脳みそを大きく揺さぶっていった。そのためなのか、この影響で高度成長を支えた猛烈サラリーマンは減少し始め、清貧な思想はどこかに吹き飛ばされてしまった。それくらいセンセーショナルなギャグで、ここから日本が変わってきたように気がする。

ところで、このところ「赤信号、みんなで渡れば怖くない」をやっている人たちをよく見かける。真っすぐに正々堂々とやろうとしないで、デタラメにやって蛇行しても何食わぬ顔。無反省の態度で厚かましく連中だ。つまり、公共の福祉に反することばかり。武士道という言葉はどこにやら。見苦しいのひと言に尽きる。こういう社会の風潮に流されず、しっかりと自分を見つめて、等身大の姿を確かめてみよう。今の自分はこれでいいのかを鑑見ていく。もし、客観的に正しいことがわかれば、そのまま前向きに進んでいけばいい。それは青信号なのだから、胸を張って取り組めばいいのだ。