コモディティ

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コモディティという言葉がある。本来は石鹸や歯ブラシなどの日用品のことを意味するが、経済学の世界ではちょっと違い、コモディティ化と呼ばれて、機械などの構造や性能を材質、大きさ、数量などの数値や言葉で明確に表現できるものが、一定のレベルを満たしていることがわかれば、同じようなものとして理解されていく。市場を出回っている商品が、消費者にとってみれば、どのメーカーのどの商品を比べても大差がなくなる状態のこと。つまり、明確な情報によって品質がわかるものはすべてコモディティで、独自性の高いデザインより値段の安さが購買する際の判断材料になるため、こだわりのあるものが選ばれにくい状態になってしまうのだ。

だからこそ、専門性や特殊性、特色を前面に押し出したスペシャリティが必要になる。他の人ではない技能を武器にして、個性的なものをつくり出すことが求められる。美術家はその旗手としての役割を担っている。皆と同じでいい工業製品には個性はなく、似たり寄ったりしたものが支配する社会の中で、人間らしい感性を刺激していく役目が当てられている。主義主張のある尖った作品で、イメージのツボをチクっと刺して、その人だけの世界観を広げていく。身体的な感覚を活性化させて、何かを感じるセンスの感度を良くする。人生の豊かさを見つけ出すために目に見えないものを感じさせていくのだ。思い描いたものを思いっきり描いて、観る人たちの夢を広げていこう!